風をひらく in 八ヶ岳 (その1)by Mory
2005年 12月 05日
『ジャンピング・マウス』の中では、「祈りを聞き届けてもらうためには、自己を捧げ物としてとことん与え尽くせ、という神聖な教え」が、一匹の野ねずみを主人公に語られている。この物語を25年前に最初に日本に紹介したのが、おおえまさのりさん。おおえさん自身の版画がちりばめられた手作りの本は、25年に渡りいろいろな人の手に、そのメッセージとともに渡っていった。そして残部わずかとなった今年、北山耕平さんによって、新しいジャンピング・マウスの物語として出版されたのだ。
「風をひらく」と題した一泊二日のその集いには、おおえさん、北山さんを始め、『ジャンピング・マウス』の語りを始めた古屋和子さん、その語りにインディアン・フルートの音色を添える野中かつみさんなどといった役者が勢揃いした。そして参加者は、八ヶ岳山麓の個性あふれる住人や、東京、富山、神戸などからも70名もの人々が駆けつけた。
折からの寒波で急激に気温が下がった八ヶ岳山麓だったが、おおえさんと北山さんのトーク会場となった夜のおおえ邸は熱気で包まれていた。そして、トークがまさに始まろうとしていたそのとき、一陣の強風が吹き抜け、軒先にかけられていたタープが支柱から吹き飛ばされ、さらに庭先のたき火から、火の粉が川のように流れ出た。
スピリットが、風に乗ってやってきた。(つづく)